こんにちは。
なないろの森歯科クリニック 副院長の三浦知子です。
日中の暑さもすっかり和らぎ、秋の訪れを実感しますね。
秋といえば、美味しい物がたくさんあり、食欲も出る季節ですから、健康な歯とおくちで、お食事を楽しんで頂きたいと思います。
さて、今回は、おくちのケガについて、特にお子さんの場合の対処法をお伝えします。
当院にも、
「ぶつかって歯が欠けてしまった。」
「子どもがこけて、歯から血が出ている。」
など、おくちのケガにより、救急来院される場合があります。
割合として多いのは、1~3歳頃の幼児と、小学校低学年のお子さんです。
1~3歳頃は、つたい歩きや一人歩きができるようになりますが、まだ歩行が不安定で転びやすく、乳歯のケガが増えやすい時期です。
小学校に通う時期になると、行動がより活発になり、遊具や高い場所からの転倒、友達とのふざけ合いによる事故などが増え、それがおくちのケガにつながりやすくなります。
小学校低学年でも、すでに前歯は永久歯であることが多く、このときのケガが、後々まで影響を及ぼすこともあります。
それでは、実際に、お子さんが歯をケガしたときの対処法と、私達が行う治療法についてお伝えします。
歯が欠けてしまった場合は、それが歯の中央にある歯髄(神経)にまで及んでいるかどうかで、処置が変わります。
少し欠けただけで、歯髄に影響がない場合は、歯と同じような色をしたレジンという充填材で、元の形に修復することが可能です。
一方、歯が大きく折れてしまい、折れた面にピンク色の歯髄が見えている場合や、出血している場合は、歯髄の一部を取り除いて薬剤を貼付してから、歯の形を修復します。
この場合、治療が早ければ早いほど、成功率が高くなるので、ケガをしてからできるだけ早く、歯科を受診することが大切です。
歯がグラグラしていたり、位置がずれた場合、乳歯の生え変わりの時期で元々グラついている状態であったならば、ほとんどの場合、処置の必要がありません。
しかし、生え変わりまでに時間がかかる乳歯や、永久歯の場合は、処置が必要なこともあります。
位置がズレてしまった歯は、元の位置に戻してから、ワイヤーなどを使って固定し、歯の根の組織が回復するのを待ちます。
2週間から2ヶ月ほど固定することもあり、その間は、歯を安静にしなければなりません。
歯を強打すると、完全に抜けてしまうこともあります。
抜けた歯の状況や、治療開始までの時間によっては、元に戻せる(再植できる)可能性があります。
再植するうえで重要なことは、歯根膜が生きているうちに、短時間で処置をすることです。
歯根膜は、歯の根のまわりについている薄い膜で、歯と骨をつなぐ役割を果たします。
そのため、抜けてしまった場合は、歯の根を清潔に保ち、乾燥させないように、歯牙保存液か生理食塩水、これらがなければ、牛乳に浸した状態にして、早急に歯科を受診しましょう。
歯根膜は非常にデリケートなので、土などがついていても、歯の根にはできるだけ触れないことも大切です。
おくちのケガ、特に前歯のケガは、子ども達にとっても、保護者にとっても、不安が大きいことでしょう。
早期に正しい治療と、継続的なチェックを受けることをおすすめします。