こんにちは。
なないろの森歯科クリニック 副院長の三浦知子です。
いよいよ受験シーズンを迎え、受験生や親御様にとりましては、緊張の続く毎日をお過ごしのことでしょう。
試験当日は、万全の体調で臨んでいただきたいものです。
そんな大切な時期に、またインフルエンザが流行のピークを見せています。
いったん流行すると急速に感染が広がることから、インフルエンザ感染者は、例年推定1000万人といわれています。
感染しない、感染させない、一人一人がしっかりとインフルエンザ対策をしておかなければなりません。
以前、新聞で「インフルエンザ退治は、歯磨きから」という記事が掲載され、注目を集めました。
インフルエンザと歯磨きに、一体どんな関係があるのでしょうか?
日本大学歯学部口腔細菌学講座の研究チームが、インフルエンザウイルスの感染と増殖に、口腔内の歯周病菌が深く関与していることを明らかにしました。
実際に、口腔ケアで歯周病菌を減らした場合と、口腔ケアを行わなかった場合を比較すると、前者はインフルエンザの発症を10分の1に抑制できたというデータがあるそうです。
まだ大規模な疫学調査を行ったデータではないものの、インフルエンザ予防において口腔ケアが重要なポイントであることを示した、貴重な発表です。
実際、口腔内の細菌は、インフルエンザウイルスを粘膜に侵入しやすくする酵素(プロテアーゼやノイラミニダーゼ)を出します。
そのため、口腔内に細菌が多く存在すると、インフルエンザに感染しやすくなるということになります。
さらに、インフルエンザウイルスは口腔内細菌が出すノイラミニダーゼを介して増殖します。
抗インフルエンザ薬であるタミフルやリレンザなどは、ノイラミニダーゼの働きを妨げることによって、ウイルスの増殖を防いでいるのです。
インフルエンザ流行の予測が困難になっており、薬剤耐性ウイルスの問題も深刻化しています。
そこで、このような、ワクチンや薬剤だけでない、新たな感染予防および重症化対策は大きな意味を持ちます。
特に免疫力の弱い高齢者の方は、インフルエンザが重症化する可能性があるため、毎日の口腔ケアで口腔内の細菌数を減らすことが、インフルエンザ予防にもつながります。
口腔ケアは、もちろんむし歯や歯周病予防につながりますので、おうちでのケアに加えて、歯科医院で専門的なケアを受けることは、非常に重要です。