こんにちは。
なないろの森歯科クリニック 副院長の三浦 知子です。
今回は、むし歯の予防処置であるシーラントについてお伝えします。
シーラントというのは、奥歯にある深い溝を封鎖して、むし歯を予防する処置を指します。
お子さんに対して行われることがほとんどです。
奥歯の溝は複雑な形をしていて、食べかすやプラーク(細菌の塊)がたまりやすい場所です。
人によっては溝がとても深く、どうやっても溝の奥に歯ブラシの毛先が届かないことがあります。
入り込んだ食べかすやプラークは、そのままだとむし歯菌の温床になってしまいます。
さらに、生え始めたばかりのお子さんの歯は、歯の質が弱く、むし歯菌の出す酸に溶けやすいのです。
このため、深い溝がある生え始めの奥歯は、むし歯になるリスクが非常に高いといえます。
そこで、「奥歯の溝をあらかじめ合成樹脂などで埋めて、歯ブラシの毛先が届かない場所に食べかすや細菌が入り込まないようにしよう」というのがシーラントです。
むし歯になったところを削って詰めるレジンなどの詰め物と違い、予防処置として、むし歯になりそうなリスクのあるところを埋めておくわけです。
奥歯の溝の形状は、人によって違います。
とても深く、中に隙間があるような人もいれば、少しへこんでいるだけの人もいます。
歯の溝において、むし歯のなりやすさは、その形状に影響されるのです。
シーラントを必要とするかどうかは、歯科できちんと検診を受けてから診断してもらいましょう。
歯科では、溝があればとにかくシーラントを入れるわけではなく、奥歯の溝の深さはもちろん、ほかにむし歯があるか、歯みがきはきちんとできているか、食生活はどうか、などお子さんがむし歯になりやすいかどうかを総合的に考えて、シーラントすべきかを判断します。
極端に言えば、たとえ溝が深くても、歯みがきがしっかりとできていて、プラークが溝に残らないようなら、シーラントは必要ありません。
しかし、むし歯になるリスクが高いお子さんにとって、シーラントは非常に有効な予防処置ですから、歯科ですすめられた場合は、ぜひ受けられるとよいでしょう。
シーラントをした歯は、プラークがたまりにくく、歯みがきもしやすくなります。
注意すべきは、噛んでいるうちにシーラントの一部がはがれ落ちて、歯の表面との境目にごく微細な段差ができることがあり、そこからむし歯になってしまうことがある点です。
シーラントは入れて終わり、ではなく、その後の状態も歯科で定期的にチェックしてもらいましょうね。