こんにちは。
なないろの森歯科クリニックの副院長 三浦知子です。
今回は、日本人の4人に3人が後悔しているという、あるテーマについてお話したいと思います。
日本歯科医師会が昨年実施した、「歯科医療に関する一般生活者意識調査」において、もっと早くから歯の健診や治療をしておけばよかったと、75%の人が後悔しているという結果が出たのです。
調査対象となったのは、全国の15~79歳の男女1万人。
このなかで、日常生活では物事を先に片付ける「対応派」が7割だったのに対して、歯科健診や歯科治療の受診は、ギリギリまで対応しない「先延ばし派」が過半数を占めていたのです。
日頃から早目に物事に対処する人でも、歯の健診や受診は、先延ばしにしてしまうことが多いのです。
これだけ多くの人が歯科受診を先延ばしにするには、それなりの理由があるのだと思います。
そもそも、痛みがなければ歯科を受診する必要がないという考えをお持ちの方は多いでしょう。
もしくは、歯科そのものへの恐怖感や嫌悪感があり、自覚症状があっても、なかなか受診する気になれないのかもしれません。
忙しくて健診へ行く時間がないという場合もあるでしょう。
ただ実際は、歯科健診や歯科治療を先延ばしにすると、そのツケがくることを実感する人が多いようです。
調査結果でも、年齢とともに先延ばし派の後悔度は増しています。
さて、必要な歯科治療を先延ばしにすることは、何かデメリットがあるのでしょうか?
例えば、対応派のAさんと先延ばし派のBさんがいたとして、今2人に同じ程度のむし歯があったとします。
自覚症状は2人ともありません。
Aさんは、忙しい中でも定期健診は必要と、3ヶ月ごとに、かかりつけの歯科医院を受診しています。
Bさんは、歯科が苦手なこともあり、自覚症状がない限り、歯科を受診することはありません。
Aさんは、健診でむし歯ができていることを伝えられました。
痛みがまったくなかったため驚きましたが、レントゲンで見ると、確かに歯と歯の間に黒い影があります。
忙しさを理由に歯磨きの際にフロスを使わないことが度々あったことが、むし歯の原因になっていたようです。
ただ、早期発見だったため、治療は1回で、レジンという白い詰め物をして終わりました。
Bさんはその後も症状なく過ごしていましたが、Aさんが治療を受けた時期よりずいぶんあとになってから、食事を咬んだ時に痛い歯があることに気づき、やっと歯科を受診することにしました。
むし歯は思っていたよりも大きく、神経にまで達していたむし歯を治療するために、数回通院し、最終的に金属の被せ物をつけることになりました。
対応派のAさんと先延ばし派のBさんで、通院回数や治療費、審美面のどれにおいても、デメリットは先延ばし派の方が大きくなってしまいます。
実際には、むし歯だけでなく、症状として現れにくい歯周病など、お口の問題点はさまざまあり、自覚症状を感じてから受診すると、それだけ治療が難しくなるのです。
自分の歯のことで将来後悔しないためにも、かかりつけ医をもち、定期的に歯科健診やメインテナンスを受けることは非常に重要なことなのです。