こんにちは。
なないろの森歯科クリニック 副院長の三浦知子です。
皆さんは、「スマホ顎」という言葉をご存じでしょうか。
口が開きにくい・顎の関節が痛い・音がして不快・笑顔がつくれないなど、顎のトラブルを抱える人がここ数年で急増しています。
以前から顎関節症という疾患はありましたが、最近では症状を訴える患者層が若年化しており、その原因として挙げられているのが、長時間にわたるスマートフォン(スマホ)の使用です。
スマホを扱う時間が増え、下を向いて長時間画面を見ていることや、スマホに集中するあまり、無意識にくいしばりを起こしていることが、顎周囲の筋肉を常に収縮させてしまいます。
そのため、これらの筋肉が硬直し、口が開かないなどの症状が出ているようです。
筋肉の硬直で口が開かないというのは、たとえば、足のケガでずっと寝ていて歩かずにいると、足が思うようにスムーズに動かないという症状に似ています。
従来の顎関節症と違って、原因が特殊であることから、「スマホ顎」として注目されているのです。
口の開けにくさ(開口障害)があるかどうかに関しては、
「指を縦にして3本分が第二関節まで入るくらいに口を開けることができるかどうか」がひとつの目安になります。
指の太さには個人差がありますので、あくまでも目安ですが、2本分程度しか開けられなかった場合は、顎に問題がある可能性があります。
では、顎に症状があった場合、それを改善するためにはどうしたらよいのでしょうか。
顎の周囲を取り巻く筋肉の過緊張状態は、肩コリと同じように「あごコリ」として、その筋肉をほぐすためのストレッチやマッサージが有効です。
筋肉の血行が改善し、コリがほぐれます。
スマホを長時間使用されている方はぜひ、以下の①~③を順番に、セットで行ってみて下さい。
① 咬筋という、左右の顎のつけ根にある筋肉(エラの角から2~3センチ斜め前方)を、人差し指などを使ってクルクルと円を描くように8秒間マッサージします。
筋肉の位置が分かりにくければ、軽く噛みしめたときに顎のつけ根の部分で筋肉がふくらむような動きをするところを目安にして下さい。
② 次は、側頭筋という左右のこめかみ付近にある筋肉を、先ほどと同じように円を描くように8秒間マッサージします。
③ 最後に口を大きく5秒間開けたら、いったん閉じます。これを3回繰り返します。
これら①~③を1セットとして、毎日朝晩の1日2セット行うことがおすすめです。
マッサージは優しく、心地いいと感じる強さで行いましょう。
開口障害などの症状がある場合は、自己判断せずに歯科を受診して、正しい診断を受けることも大切です。
現代病ともいえるスマホ顎にならないよう、注意していきたいものですね。