こんにちは。
なないろの森歯科クリニック 副院長の三浦知子です。
寒さの中にも春が近づいていることを感じられる季節になりましたね。
皆さまいかがお過ごしでしょうか?
今回は、酸蝕症についてお話させて頂きます。
酸蝕とは、酸性の強い食べ物や飲み物が原因で歯が溶け出してしまうことです。
むし歯とは原因が異なりますが、同じような症状につながります。
歯科の専門用語では「脱灰(だっかい)」といいますが、歯のエナメル質からリン酸カルシウムの結晶が溶け出した状態です。
酸性かアルカリ性かは、ph値によって示され、お口の中は、通常ph6.5~7.0で、弱酸性から中性となっています。
通常、私達のお口の中で唾液が十分に分泌されていると、酸を洗い流して中和してくれる働きがあります。
しかし、歯の表面を覆っているエナメル質はph5.5以下の酸性のものに弱く、酸性の飲食物を多く摂っていると中和しきれず、脱灰が起こってしまい、酸蝕症になるのです。
酸蝕症を起こす危険性のある飲食物は、私たちの周りにたくさんあります。
例えば炭酸飲料水や清涼飲料水、果汁ジュースなどの酸性飲料です。
スポーツドリンクなど、健康的なイメージのあるものでも、酸蝕症の面からは気をつけなければいけません。
糖分も多い酸性飲料は、なるべく控えるべきでしょう。
食べ物では、レモンやグレープフルーツなど柑橘系の果物に注意が必要です。
ただ、これらの食べ物は栄養素として体に良いものが多いことも事実です。
そのため、歯のことを考えると、その食べ方がポイントになります。
一日に何回もたくさん食べたり、ダラダラと長時間食べたり、寝る前に食べることは避けたほうが良いと考えられます。
酸性の飲食物を摂ってはいけないということではなく、摂り方に気をつけるだけで、酸蝕症のリスクは抑えられるのです。
また、 酸蝕症の予防には、フッ素による歯の再石灰化で修復力を強化することが大切です。
酸によって剥がれた表層のエナメル質も、再石灰化で修復できれば、歯にとって大きなダメージを減らすことができます。
フッ素は市販の歯磨剤にも含まれていますが、歯科医院で高濃度フッ素を定期的に塗布することが、歯質強化には非常に有効です。
酸蝕症はご自身で気づきにくいかもしれません。
ぜひ、歯科で検診を受けることをおすすめします。
むし歯も歯周病も酸蝕症も、早目の対応が肝心です。
なないろの森歯クリニック 三浦知子